Photog by Peter Vidani
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田中角栄は、秘書の人に言伝をするとき、こんな表現をしたんだという。

  • 「この金は心して渡せ。ほら、くれてやるなんて言う気持ちがお前にかけらほどもあれば、相手もすぐ分かる。それでは100万円の金を渡しても、一銭の値打ちもない。届けるお前が土下座しろ」
  • 「人に金を渡すときにはいつでもピン札で渡せ。ハダカで渡すな。失礼になる。必ず祝儀袋に入れろ。折り方を教えてやる」
  • 「世の中というのは何を持って二代目を一人前と見るかといえば、それは葬式だ。親父の葬式をせがれがきちんと取り仕切れるか、それを見て判断する。葬儀委員長の人選を誤るな。誰もが納得する人になってもらいなさい。自分勝手にやるな。父親と一緒に汗を流してきた友人弔辞を読んでもらいなさい。葬儀委員長がそうした仲間なら、その人にやってもらうのが一番だ」

角栄の言葉というのは乱暴で、親方的で、上から目線で暑苦しくて、それでもなお、こういう人がリーダーならば、たしかに誰もがついて行くだろうな、という説得力がある。「これをやれ」という指示が明確で、実際にその人が「できる」ことしか言わないから、それを聞いたら、誰もが即座に行動できる。

人々を出口に誘導するときには、たとえば「出口に向かって動け!」よりも、「前に走れ!」のほうが、出口を探さなくていいぶんだけ、乱暴な言葉としてはより正しい。「命令に従え。さもないと」という脅し文句も人を動かすためには有効だけれど、何よりも「命令」部分が具体的で、それを受けた人がすぐに実行できるものでないと、「さもないと」の言葉に効果が出ない。

「絶対に引くな!さもないと会社は潰れるぞ!」なんて相手を怒鳴って、選択枝を根こそぎ奪ったその状況で、じゃあどうすればいいのか、それを怒鳴れない人は単なる「うるさい人」であって、リーダーじゃない。

今怒鳴っているその人は、単に大声を出す人なのか、それとも大声で指示を出せる人なのか。乱暴な言葉を聞いたときには、区別したいなと思う。

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